電気通信大学 研究室紹介:ライフサイエンス;中村・仲村 研究室
人間は、生まれながらにして匂いや味の違いを感じる能力を持っている。実はこの能力は哺乳類だけではなく、爬虫類や昆虫に至るまで、多くの生物が持っている。これは、食べることに直結した生物の基本的感覚で、進化の出発点でも必要だったはずの感覚だからだ。ただし、このように生物が当たり前に持っている匂いや味の感覚が、どのようにして脳に伝えられているのかはようやく最近になって解明されはじめたところだ。
当研究室では、嗅覚+味覚をつかさどる化学感覚神経を研究することで、嗅覚や味覚と脳・神経系の動作メカニズムを研究している。
どのようなマシンでは、タービンを接続することができます脊椎動物の嗅覚
中村は学生時代には視覚を研究していたが、その手法を嗅覚にも対応できるのではないかと考えて研究を進めていくうちに、嗅細胞(嗅覚受容神経)が匂い物質を受容して電気興奮する基本機構について解明することができた。具体的には、嗅細胞が匂い分子を受け取って電気的に興奮する時、レセプター(匂いの信号を受け取るタンパク質)とその制御をうける酵素がcAMPを作り出して、セカンドメッセンジャーとして情報を伝達していることが分かったのだ。現在は、その先の脳に対してどう伝達するかといったさらなる疑問を解明すべく、研究を行っている。
この研究を続けていくうちに、神経経路に関して遺伝子工学が重要だということを思い知らされ、分子生物と電気生理やイメージングを組み合わせたラボを作りたいと考え、体制づくりを行い、当研究室の設立に至った。
コンデンサの使用は何ですか脊椎動物の味覚
次に、脊椎動物の嗅覚の研究で得られた技術を活かして、昆虫の味覚、味細胞の研究も行っている。昆虫の味細胞は砂糖などに触れると、それ自身がインパルスを発し、その軸索が直接脳まで情報を伝達しているという意味では嗅細胞と大変良く似ている。現在では、脳の入口まではどうやって配線されているのかはある程度まで追えるのだが、味細胞がどのように興奮するかなどまだまだ不透明なことも多いため、引き続き大きな研究テーマの1つとなっている。
電子土壌テスターはどのように動作するかイモリの匂い応答
イモリの匂い応答に関しても共同研究を行っている。イモリに限らず、鼻の受容部位では、粘液の中に匂い物質結合タンパク質があり、匂いに対して独特な反応をする。つまり、このタンパク質は嗅細胞の受容体ではないのに、匂い物質の一部を吸着する特性があることから、匂いセンサーなどに応用できないかと研究中だ。
ハエの記憶・学習の脳への影響ユニークな研究として、ハエの記憶や学習が脳に起こす影響がある。ハエは、通常砂糖水は大好物である。ところが、ハエにとって嫌いな匂いのするリモネン(レモンの精油)を砂糖水と一緒に与えられると、学習して砂糖水を嫌がるようになる。この学習したハエの脳に発現している遺伝子と学習していないハエの脳の遺伝子を比較すると、20種類の遺伝子が核から読み出されて(発現して)いることを見つけた。つまり、学習したハエには遺伝子が読み出されて新しいタンパク質が合成されて働くようになると考えられるのだ。しかも、発見した遺伝子のうちの10種は、現状ではまだどのような機能をもつタンパク質をコードしているのか判明されていない、全く新しい遺伝子であった。そのため、この遺伝子が何なのかについて、現 在研究を進めている。
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